ゲームのコンセプト

様々なマイノリティ体験を通じて、共生社会の第一歩を踏み出そう!

「ゆっくり100歳の旅行者」「みぶりてぶりの旅行者」「助けるの大好きな旅行者」など様々な個性を持つ旅行者になりきって“ワルワン国”を旅するゲーム、それがワンダーワールドツアーです。疑似体験を通じて障害のある人やお年寄り、子どもの困りごとに気づき、どうすればみんなが共に楽しめるかを学び考えることができます

ミッション達成のために必要なカードを集めるのがゲームのゴールですが、その途中には手話であいさつしたり、どろぼうにあったり、パレードに参加したり...旅を彩るいろんな思い出ができるでしょう。学びを目的としていますが、楽しくなくちゃゲームじゃない!これまでの体験会でも子ども達が何度もリピートしてくれました。ぜひ、ご家庭や学校、学童、さらに職場などでも、プレイしてみてください!!

> ワンダーワールドツアー体験者の感想

「障害者をはじめとしたマイノリティとの接触経験がない」という課題

障害のある人が困っているときに、手助けをしたことがありますか? ⇒助けたことがない54.2%

皆さん、日本における共生社会の実現度はご存じでしょうか?

日本リサーチセンター:ユニバーサルデザイン社会の実現度定点観測調査によると、9割以上の日本人は共生社会の実現をすべきと考えいます。

一方で共生社会の実現度は10点満点中4点、5点以下を付ける人が約78.9%と約8割。

また日本財団:18歳意識調査ー障害者ー(2018年)によると、障害のある人と接したり触れ合ったことがない人が37%。

また18歳のうち54.2%の人が実際に障害のある人を助ける経験をしたことがないという結果がでています。

分離される学びの場… それは子どもたちの未来にどのような影響を及ぼすのか?

残念ながら今の日本社会は小学校のタイミングで障害の有無で学ぶ場が分かれてしまい、学校生活の中で様々なバックグラウンドを持つ人と共に過ごし育つ経験が損なわれています。

共に学び育てば、当たり前に隣にいる隣人となり接し方がわかるとともに、自分と異なる人を受け入れ対応できる社会性が身につきます。しかしながら現実は触れ合う機会がない状態で育つ子供が多いため、どう接していいかがわからない。わからないから助ける機会も持てない。また自分が何かの理由で少数派に所属したときに不安に思ったりその壁を乗り越えるのに苦労することもあるかもしれません。

また同時に私(高橋)自身の子育ての中で感じていることなのですが、マイノリティの立場になったりその人を通じて社会を見ることは、良いことがたくさんあると思っています。人にやさしくなれたり物事を多様な視点で捉えられる力を持つきっかけとなり、私自身の感想にはなりますが、生きるということが楽になったり、ゆるやかな気持ちになれる機会が増えました。

そうした背景から、自分とは異なる立場の人のことを体感することや、助け助けられる体験をすること、共に一緒に行動することをゲームを通じて楽しくできれば!と思い、「ワンダーワールドツアーゲーム」を製作しました。

このゲームで学べること

旅行者カードのイメージ

旅行者カードに象徴される、障害やマイノリティの疑似体験をすることができます

ワンダーワールドツアーでは旅行者カードが最初に割り当てられ、その人になりきって旅行に挑みます。

そのため、目が見えない時どういう風にいってもらうと助かるか、話さずサインやジェスチャーでコミュニケーションをとるときに大切なこと、助けてもらえると嬉しいけど自分自身でやってもみたいなど、自分とは異なる特徴を持つ人が感じる世界を疑似体験することができます。

また、障害だけではなく年齢による違いや日本語の理解が不十分なことによる困りごと、貧困に付随した機会の少なさなどの疑似体験もできます。年を取るまでなかなか気づけない動きづらさや小さな読みの文字にくさ、また小さいと遠くのものや高いものには届かない、自分のやりたいことがすぐにできないもどかしさ、文字が読めないなどによる困りごとなど普段の生活で気づかない世界を垣間見ることができます。

助け合えばいろんなことできるし、実はその人だけではなく、色んな人が助かって過ごしやすくなることを知る

ワンダーワールドツアーのツアーカードには、旅行先のワルワン国(架空の国)の言葉である「ワルワン語」でツアーカードを表現しています。ツアーカードは文字のみで表記したものとイラスト付きで表現をしたものを作っており、文字だけの表現より絵や図があることで誰にとってもわかりやすいことが体感できるようになっています。 

また旅行中に起こるイベントを伝える思い出カードも、意図的に小さな文字で書いたカードや、英語で書くことで小学生が一目ではわからないもの、また緊急避難速報のようにあえて難しい漢字や言い回しで表現したカードをいれています。 

私たち大多数の人に合わせることで気づかない少数の人々の困りごとは、その人が心地よい風に合わせることで、実はみんなが助かることは多くあります。子供たちが将来大人になった時に、自然と「誰もが過ごしやすい」ことを意識して行動できる。そんなきっかけをこのゲームでつくれると嬉しいと考えています。

いろんな特性を持つ人とどうコミュニケーションをとるとよいか、助けるコツが学べます。

目をつぶり音でコミュニケーションをとる人と一緒に過ごす時、「そっち」で伝わるでしょうか?

ついつい私たちは日常であれこれそれなどの言葉を使いがちです。また丁寧に確認をすればわかりあえるけれど、ついついないがしろにしてしまったり言葉が足りない事ってありますよね。普段の生活では意識しないとできない伝わるコミュニケーションの取り方をゲームを通じて意図的にできるようにしています。

また、「学び」の面だけでなくゲームとしての「楽しさ」も提供しています。考えながら楽しむ、楽しんだ後に考える…そういった経験を提供しています。まずは構えず、みんなでワイワイしながらプレイしてみてください!

11種類の旅行者カードを紹介します

よく見る旅行者

聞く機能に障害がある人を想定しています。

音声による情報がはいりづらいためサインや筆記などでコミュニケーションをとる体験をしてみましょう。

聞こえづらいからこそ、目を見てコミュニケーションをとる大切さに気付きやすいです。

みぶりてぶりの旅行者

話す機能に障害がある人を想定しています。

失語症、音声障害、吃音や聞こえの課題に伴う言葉の問題、高次脳機能障害などがありここでは音声による伝達ではなくサインでコミュニケーションをする疑似体験ができます。

音で世界を知る旅行者

見る機能に障害がある人を想定しており目をつぶりことで視覚の情報が遮断される全盲の方の疑似体験となります。

視覚に障害があるといっても視力や色覚、視野、読字、光覚など様々な状態があり、現在はアプリやメガネなどでその疑似体験をすることができますよ。

視覚による情報が遮断されることで音からの情報を得る能力が高い方も多いです

マイウェイな旅行者

コミュニケーションを取ることが難しい人を想定しています。

聴覚が過敏であったり、感じ方に個性があったり、世界のとらえ方が多様な場合ありますがここでは、コミュニケーションや対人関係に困難を抱えている人の疑似体験をするために手札を隠したり、うまく伝えられない想定にしています。


絵で伝わりやすい旅行者

知的な障害がある人を想定しています。

難しい文字や言い回しを理解することは難しいかもしれませんが、簡単な言葉やイラスト等を活用すると理解ができることも多いです。

気持ちが言葉や文字で伝わりづらいことがあるため、手札を隠すことでコミュニケーションの難しさの疑似体験ができるようにもしています。

小指使いの旅行者

身体の機能に障害があったり、麻痺などで身体が動きづらい人を想定しています。

代わりに取ってあげるなどの直接的な支援もできますが、ゆっくりであれば自分でカードをとったり捨てたりもできます。

個人のやりたい意思も尊重しつつ直接的な支援を行うなど工夫しながら実施できるといいですね。

ゆっくり100歳の旅行者

高齢者の疑似体験ができます。

体の動きがにぶくなっていくことをひじをまげないことで表現し、ゆっくり動くことを行き先カードを2枚そろえる形で表現しました。

小さい4歳の旅行者

4歳の子どもの疑似体験ができます。

子どもは高いところに手が届かなかったり力が弱く、大人が代わりにやってあげることが多いです。また難しい漢字や言葉はわかりづらいため、そうした体験ができます。

高校生や大学生の人が体験すると、「子どもってこんなに助けてもらわないといけないんだ」と子育ての疑似体験にもなっています。

じっくり字を見る旅行者

学習障害の中の読む機能に障害がある人を想定しています。

学習障害(Learning Disability:LD)には全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。 LDのタイプは読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)に分かれています。

機会を求める旅行者

貧困やヤングケアラーなど能力的な障害はないものの、置かれた環境を要因として行動が不利になる状況を疑似体験できます。

能力ややる気の有無だけでは解決しない問題について考えるきっかけとなります。

助けるの大好き旅行者

特に障害や困難がない人を表現しています。そのため行動に制限はありません。

いつものように行動できると、ゲームに夢中になるばかりにサポートを求めている人たちの存在を忘れてしまうかもしれません。また他の旅行者は、この旅行者がいるばっかりにサポートを任せっぱなしになるかもしれません。お互い考えるきっかけを与えてくれます。

人は本来一人一人違って、同じ属性や症状を持っていたとしても同じ人はおらず、色んな性格や行動、その人に応じた困りごとや楽しさがあります。一方でゲームはどうしても「ルール」を決めて取り組まないといけないため、本来多様な人たちを一定の決まりで表現する必要があります。

ぜひ皆さんは旅行者カードを通じて、色んな人のことを理解し、疑似体験をしていただきたいのですが、これが決まりきった特徴ではなく多様な人がいることを覚えておいていただけると嬉しいです。

またこうしたゲームという特性上、カード内に表現する必要があり、そこには文字数等の制限があります。そのため多様性として取り上げられる国籍や文化、性的指向性などは旅行者カードではなく思い出カードの中で表現しています。

旅行者カードや思い出カードの内容を通じて多様な人を知ってもらえると嬉しいです。